25日は富山県南砺市の五箇山の桂湖の自然観察施設、ビジターセンターの防音工事をしました。
私の好きな何度も登っている大笠山の登山口にある施設です。
ここは自然観察館で館内はカモシカ、熊、鳥などのはく製などがあり五箇山の自然を学習するするところです。
施設の裏はダム湖の桂湖を眺めるテラスがあり、静かなところです。
山奥なので今まで携帯電話が通じませんでした。携帯の電波が通じるようにテラスの横の物入れに携帯電話会社が通信機を設置し、携帯が通じるようになりました。(ドコモとソフトバンクのみ,AUはまだ不可)
この通信機が音と熱を出すので簡単な木板で囲いをしたのですが、ブーンという低音域の音で静かなところを求めてきた人達から喧しいとクレームがついたのです。
ここの騒音の測定調査依頼があり、去年9月19日に私と、工務店の社長、サッシ会社、通信機会社関係の人とここの館長さんとでこの現地で防音対策の方法について話し合いをしました。
音を遮音するは簡単なのですが、問題は機械が熱を出すので機械室が暑くならないよう空気を回して熱を逃がすという音はとめ、空気を回すという相反する難しい工事となりました。
当初、換気扇で空気を回す意見もありました。
メーカーの換気扇のカタログの騒音値は低いもので30dBと書いてありますが、機械室内のコンクリートに換気扇の音の反射音や拡散音なので音の増幅があり、おそらく38d近くまでになりこの音でクレームがつく危険性があります。
そこで私からの提案でここは自然換気しかないとお話しました。
通信機の熱の対流を起こす方法として、出入りできるドア付きの防音間仕切り壁の下と上に防音フードとサイレンサーを付け、冷たい重い空気を下から吸い、暖かくなった機械室の軽い空気を上の防音フードから出し、空気の自然対流を利用すれば機械室の熱をとることができると、私から話をしてこの案で決定しました。
11月になると雪が降り、豪雪地域なので工事ができず、結局雪の解けた5月25日に工事となったのです。
五箇山の国道から100mくらい入った桂湖の道路のゲイトは例年でしたら、大型連休前の4月末には開通するのですが、今年はつい最近まで2mほど雪があったそうで、ゲイトには鍵がかかっており、開通していませんでした。
館長さんに連絡をして鍵を開けてもらいました。
館長さんはこの週末の30日開通を予定しているということです。このゲイトからビジターセンターまで登りの道路が4kmありますので、今は大笠山の日帰り登山ができません。
先ず間仕切り壁メーカーの職人さんが木目調の特注の防音壁の施工から開始です。
通信機械の騒音値は57.2dBです。
コンクリートに枠を取り付けます。
壁の取り付け、防音フード用の穴あけ
防音壁の取り付け
防音壁と防音ドアの取り付けはお昼までかかりました。
お昼でメーカーの職人さんは帰り、これから我々が機械室のコンクリートの天井と一部壁に吸音用グラスウールをとめるスピンドルピンをボンドでコンクリートにとめます。
板状グラスウールをピンの上から差し込み、化粧ボタンをさらにその上からピンに差し込みGWが落ちないようにします。
この工法は工場騒音で以前よくやりました。
次に防音フードの取り付けと室内側のフードの穴のダクトにサイレンサーをはめ込みます。
この穴からの音漏れに細心の注意をはらわなければなりません。立派な防音壁があってもこの穴から音漏れがすれば防音の意味がないからです。
防音フードだけでは心配なので、あえて防音サイレンサーのダブルで遮音、吸音を強化しました。
機械室の床は外部のテラスの木の隙間のあるフローリングと同じです。ここの防音をしなければなりません。
ここはゴムの防音マットを敷き込みます。
夕方6時過ぎまでかかりやっと完成しました。
館長さんに立ち会し騒音計で測ると32.1dBでした。機械の騒音値が57.2ですから25.1dBも遮音ができほっとしました。
館長さんもニコニコ顔でした。
これで静かな環境になりました。桂湖の静かな大自然を求めてたくさんの人が来てほしく思います。いいところです。
【騒音と防音の最新記事】
JR駅近くの我が家も、この処「町」が大きく変わりはじめ、古い建物を毀し高僧のビル建設が進み始めています。それに伴い住民が増え「不思議な音」が増えています。
元々静かな住宅地だったのに・・・、と哀しい思いです。
私の住む町のように「環境が変わる」ことに戸惑っている古い住民にこそ「福田さま」のような専門的に対処できる方が居て下さると、と願っています。
近いうちに市役所に出かけて聴いて見ます。
そうですか。林部さんのところでも高層ビルが建ち始め町の様子が変わり始めているのですね。
大都会東京は何をするにつけても生活に便利です。
人口が多いので町のざわめきが増えるのは仕方がないですね。
それだけ町が活気に満ちていると思いますよ。
我々田舎者には都会の喧騒の中では住みにくく、やはり過疎になってきても田舎の静かな暮らしが私のようなこの歳になると合いますね。
この山奥の桂湖もキヤンピングカーや、泊れるロッグハウス、湖を利用するカヤックなどボードの練習場など過疎化を止め人に来てもらうために町もあれやこれや頑張っています。
人が多くなると携帯が通じない場所となると、なかなか人もも来てくれないので通信機を設置するようになったのです。
便利さの反面、考えてもみなかったこういう騒音のトラブルが起きました。
携帯もつながらない世界が自分を見つめ直す時間となり、その静かな空間は必要じゃないでしょうか。
携帯がつながらない場所は今や宝のような貴重な空間となりました。
便利さイコール幸せにはそのままつながらないと思いますね。