今年の春に住宅会社より防音ドラム室の計画がありました。いろいろ、何度も変更になりやっと工事に着工することになりました。
大きな木造2階建住宅で1階部分にピアノ室、リスニングルーム、ドラム室の3つの防音室です。
高気密高断熱の温熱環境が私の仕事ですが、音環境の防音も私の専門職です。
音響設計、透過損失のdB計算、騒音測定の仕事は大都会と違い石川県ではそんなにありません。
久しぶりに本格的な音響スタディオの仕事ができそうです。
木造ではドラムの遮音は不可能なので、ドラム室だけはRC構造にしました。
まず音を止める遮音が第一で吸音は内装の防音吸音材でいくらでもアレンジできます。
残響時間はやはり0.3秒くらいの目標としています。
残響時間というのは60dB(音のエネルギーが100万分の1まで減衰する)時間です。ドラムの音圧が110dBとすると50dBまで減衰する時間が0.3秒とうことです。
残響時間は部屋の容積と床、壁、天井の防音内装吸音材の各種表面面積とそれぞれの吸音率の数値のデーターがわかれば関数電卓で計算します。
狭い防音室で大音量の長時間演奏すると、聴覚神経に障害が起きる危険性があるので、耳に負担をかけないようにできるだけ残響時間を短くしなければなりません。
構造上隣の部屋の天井裏をどうしても通過しなけらばならない熱交換換気システムのダクトからの音漏れをどうするかが課題でした。
熱交換換気はせいぜい30dBくらいの遮音なので、断熱吸音ダクトを併用しますが、難しいダクトの距離減衰計算をしなけばなりません。今回のドラム室と換気本体の位置、ダクトの長さの距離が短いのでかなり厳しい条件を克服しなければならないのです。
まずRC防音室を先行して工事をし途中ドラムをたたいてもらい、お隣の部屋で騒音計測定してどれだけ実際音漏れするか測るので、お隣の部屋の天井だけはそのあとから始めてほしいと設計士さんにお話しました。
もしダクトの漏れがあれば吸音材をさらに巻き一回り大きいスパイラル管で通して遮音する計画の安全策の話までしました。
高気密高断熱は冬と夏にならないと評価の結果は出ませんが、防音工事は音を出した瞬間に成功か失敗かの結果が出ます。
真剣勝負が来年1月から始まりそうです。でもやりがいのある仕事です。
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