2021年04月28日

高気密高断熱住宅の勉強会


4月19日に中村住宅開発蒲l(金沢市)で高気密高断熱住宅の研修会を行いました。

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会場は中村住宅開発様の会社の会議室で、営業、設計、工事の方が参加されました。

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断熱、気密、換気、冷暖房の4第要素のどれ一つ欠けても温熱環境の良い家にはならない
ことから始まり、東北のGWに気密シート貼りの施工例、気密工事チエック箇所、
外皮UA値計算例、蓄熱容量計算などとかなり専門的なセミナーをさせていただきました。

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社員の方から施工などの沢山の質問を受け、とても充実したセミナーでした。

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2021年02月01日

棚、収納棚すべて無垢材で大工さんが造作の家の気密測定


29日は鰹ャ澤工務店様(福井市)の鯖江市の完成住宅の気密測定でした。

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中間工事中でも測定していますが、玄関に入いるとすべて無垢の松材仕上げした。

床はもちろんのこと、階段、LDKのテレビ棚や居室の収納棚など、既製品ではなく大工さんが造作して作つたと小澤社長さんからお聞きし、びっくりです。


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畳部屋の建具も無垢材です。

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小澤社長から「ウチは内装仕上げはできるだけ無垢材をつかうようにしているんです」   

なるほど社長の言葉がよくわかりました。

このお家は床下熱交換換気システムなので床畳の端に無垢板の中で床ガラリを取り付けしています。

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またLDKの読書などの無垢カウンターの壁は一部ホーロー壁にして、スケジュールや予定など書きこみができ、メモ用紙など磁石で貼り付けることもできて大変便利な造りでした。

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お施主様は細部にわたり良く考えた造りです。お施主様の夢の住宅づくりの意気込みをひしひしと感じました。

このお家は無添加住宅なので壁、天井はパーフェクトバリアに気密シート(メンブレンシート)貼り仕様です。

測定すると1箇所だけ、電気のコンセントから少し気密がもれていたので、社長と現場監督さんがコーキング処理して直しました。

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測定御結果は0.53cm2(印刷は0.5cm2)で中間工事中より良くなっています。

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完成は中間より気密が落ちやすいのですが、この無添加住宅の壁はすべて塗り壁なので
よくなったと思います。

小澤社長さんは完成で0.5cm2がでたので安心されていました。

無垢材松、塗り壁は温熱的にはとても優れた材料です。

各種建築材料の容積比熱 kcal/m3℃のデーター表を見ると

松 容積比熱     388kcal/m3℃

杉          187

左官材料 プラスター 485

クロス下地 PB   204

松は杉より 約2倍、左官プラスターはPBより約2.4倍蓄熱容量が高い材料です。



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冬はこの材料に温熱、夏は冷熱をため、蓄熱効果が高い材料なので、冬は暖房を止めてもすぐ室温が下がりにくく、気密も完成で0.5cm2なのでさぞかし暖かいお家になるでしょう。

高気密高断熱住宅の性能の基本の4題要素は断熱、気密、換気、冷暖房です。

この基本性能を高めた上で、予算的なこともありますが、内装材に蓄熱容量の高い材料をつかい、冬は暖房器の温熱を、夏はエアコンの冷熱を内装材にためることでかなり温熱環境の良い
お家になります。

特にタイルが蓄熱容量624kcal/m3℃と多くあり、内装の一部に使う方法もあります。

できれば、内装材の蓄熱容量計算まですれば、いかに内装材の選択が大事かわかります。

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2021年01月06日

正月休み、久しぶりに住宅温熱環境の本を読み直し


今年の正月はゆっくりさせて頂きました。

この休みにみ、東京大学の前先生の「エコハウスのウソ2」の本を久しぶりにもう一度読み直しました。

断熱、気密、換気、冷暖房の4大要素をバランスよく性能アップした高気密高断熱住宅にパッシブな自然エネルギーを取り入れる方法の一つとして冬場、暖房の補助としての太陽の恵みの温かさを取り入れには、窓の日射取得率の良い窓ガラスの選択が必要と知ってはいました。

私は外皮UA値計算の仕事もしているので、住宅延床面積に対しての窓面積割合の大小にもよりますが、窓の熱損失が家全体の30%以上も占めていることが多く、いかに窓の温熱性能を上がるかがポイントです。とても大事です。

樹脂ペア、樹脂トリプルガラスなど熱貫流率の小さく、太陽の日射熱の暑さ防ぐ対策としてLOW−Eガラスの採用などばかり考えてしまいますが、前先生は南窓は日射取得型を選ぶべしと書いておられます。

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YKKさんの自己適合宣言書の窓の性能データーの表を見ると、YKK APW430トリプル LOWガラス日射遮蔽型ブルーガラスですと、取得率は21%、日射取得型ニュートラルガラスだと40%です。

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又、前先生の本では窓のガラスと、フレーム枠の枠率が同じ窓面積で比較すると引き違窓の枠の割合が多く,FIX窓は枠率が小さいので冬場の太陽の暖かい恵みを取り入れるには有利と言われています。

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無暖房住宅など超高性能住宅では特にこの窓の選択が必要かがよくわかります。

日頃北陸3県仕事で飛んで回っている自分にとって、正月休みに、静かに本を読み直すと再度勉強になりました。



 
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2020年01月28日

室温を2℃上げると、健康寿命が4歳延びた記事


書店で23日発売の週刊新潮の記事に室温と人の健康についての最新の記事が載っていました。

慶応義塾大学の伊香賀教授の調査研究報告です。

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WHO世界保健機構のガイドラインでは「冬の室温は18℃以上」と勧告しているのに、日本では国交省の平均年齢57歳の住居の2000戸の冬の調査では、9割の家がWHOの勧告の18℃に達していなかったということです。

脱衣室の平均室温が12℃と比べ平均室温が14℃では健康寿命が4歳延びたそうです。

18℃未満の家に住む人は高血圧が6.7倍も発病しやすいという結果が出たと書かれていました。

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「人生100年なら50年以上は家の中で生活、健康を守るのに家ほど大事なものはない」

住宅建築の仕事の私たちは人間の健康に係わる温熱環境を肝に銘じて忘れてはならない言葉です。
とても参考になる記事でした。




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2019年04月01日

屋根断熱と通気層


設計事務所、工務店、住宅会社の実務者向け専門全国誌の日経ホームビルダー4月号に屋根断熱の施工の解説の特集記事が載りました。

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吹き気抜け、ロフト、屋根勾配天井など、水平の天井での断熱では難しく、屋根断熱工事が増えてきました。

屋根断熱の難しさは屋根材下地の野地板と屋根断熱材の間の排湿、排熱の通気層をどうつくるかが工務店、設計士さんの悩むところです。

軒先から棟までの空気の流れの通気層をとらないと断熱材と野地板の間に結露に危険性があります。

断熱気密施工が悪いと、特に冬冷たい野地板で断熱材の野地板面が冷やされ、室内の水蒸気が直接野地板裏に触れ、飽和水蒸気をこえて結露します。

野地板が腐ったり、結露水が室内天井に雨漏りのように滴り落ちるクレームが起きることがあります。

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特に寄席棟屋根は棟換気がとりにくいので通気層をどうするかが問題ですね。

この4月号には結露の発生事例からどう通気層をつくって直したかのヒントが山盛りでした。

野地板と断熱材の間の通気スペーサーの記事の中に、私の屋根裏通気遮熱FOボードの記事も載っていました。

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著作権の関係でブログでは詳しい内容は書けません。

屋根断熱の悩み解決方法はこの4月号が非常に参考になります。


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2019年03月12日

気密測定、ペレットストーブの熱をタイル床13帖に蓄熱のお家の熱容量


3月5日は荒井好一郎建築設計室様(富山市水橋)の富山市のイナーパティオの13帖のペレットストーブのある完成時の大豪邸(富山市)の気密測定でした。

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駐車場から玄関へのアプローチには井戸があり、丸い川石とドウダンツツジや石楠花など和風の趣の素敵な玄関でした。

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片引き木製製作玄関戸を開けるとなんと一面のタイル床でこのインナーパティオのタイル床が13帖もありました。(タイル床の全体の写真を撮り忘れていました)

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パティオの中の2階へは吊階段になっています。

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そのインナーパティオにペレットストーブがあります。

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家の中心のパティオの上は抜き抜け大空間です。

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パティオを中心にモダンな畳と床の間、天井はよしず張りの船底天井は素晴らしい匠の技を感じます。

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また格子の建具、障子戸など伝統的な和風は今ではめったに見れません。

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庭の植栽と高岡金物のモダンな雨トイが素敵でした。いつまでも庭を眺めていたい素晴らし庭でした。

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気密測定は、とても良い気密C値でした。

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荒井様はこのタイル床にペレットストーブの熱を蓄熱させて家全体の暖房まで考えられ、設計したと言われました。

基本は熱の逃げにくい高気密高断熱住宅だから蓄熱効果がでます。

このお家の蓄熱容量を計算してみました。

タイル厚み10mm、タイル下コンクリート30mmまでペレットストーブの熱が25℃蓄熱されるという条件の計算です。

タイル床面積 21.29m2の広さでした。

タイルは容積比熱624kcal/m3℃、コンクリート容積比熱481kcal/m3℃です。

タイル10mm 21.29m2×0.01m=0.2129m3
@タイル蓄熱量 0.2129m3×624Kcal×25℃=3321Kcal

コンクリート30mm 21.29×0.03=0.6387m3
Aコンクリート蓄熱量 0.6387×481×25=7680Kcal

合計 @3321+A7680=11001Kcal

11001÷860=12.79Kw

計算してみると12.79KWも蓄熱されます。

なんと5.6Kwのエアコン2.3台分となります。

気密、断熱の性能の高いお家なので、真冬さぞかしペレットストーブで温かいお家になると思います。







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2019年02月20日

「結露完全解決」日経ホームビルダー


住宅実務者向け情報専門全国誌の日経ホームビルダーより100の失敗に学ぶ「結露完全解決」の本が今月2月に出版されました。

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住宅の温熱環境の断熱、気密、防露、通気ミス、換気、カビのいろいろな失敗事例が紹介されており大変勉強になります。

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以前日経ホームビルダーで取材を受けた私の記事も載っていました。

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このような失敗はしないために基本的な知識や、情報が満載でした。

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日経ホームビルダーさんに聞くと、net通販のアマゾンでも販売しているそうです。

工務店さんや住宅会社の工事、営業、設計事務所さんに大変役立つマニュアル集の本です。




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2018年06月19日

換気の質問 妻のつぶやき


富山県の滑川の方から換気について教えてもらいたいとメールがきました。

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私もちょっと読んでみたのですが、

去年あれだけ一生懸命に勉強して気密測定の試験に挑んだのに、チンプンカンプンです。

そして、日曜日に奥様とお友だちの3人で来られたのですが、

運転が大好き…と言われるだけあってすごい車に乗っておられました。

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主に換気について知りたい…と言われたのですが、

設計事務所の方が持つような本格的な本を買ってものすごく勉強しておられました。

家を建てるということは、一生に一回あるかないかの大きな買い物ですので

自分の理想とする…寒くない、結露しない、カビ、ダニの発生しない、

そして、線路の近くの土地なので静かで快適な家を…と言っておられました。

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ご夫妻はメール以外にもまだまだいっぱい質問を用意されていて、

次々と質問をし熱心にメモまで取っておられたので

旦那は本領発揮ができて嬉しかったらしく、その後もご機嫌でした。

若いお二人がこんなにも頑張っておられるので理想の家が出来ますよう私も祈ります。

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帰り際にお二人のツーショット写真を撮ろうとしたところ、ご主人の隣に奥様ではなく

何故か旦那が並びました。(写真を載せるにあたってご本人の了解を得ています)

ご主人は写真の通りさわやかでとってもかっこのいい方で、

奥様がこれまた女優の広末涼子似のとってもきれいな方でしたのに…。

旦那が信じられません!!

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2018年05月31日

自社事務所窓の西陽、窓外のよしずで遮熱


私の事務所の窓は真西に向いています。

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冬は太陽の輻射入熱で結構暖かいのですが、夏は灼熱地獄です。一応夏型LOW−E遮熱ペアガラスなのですが、完全に熱を止めることはできません。

お金があれば電動外付けブラインドをつけたいのですが、非常に高価で何十万円もそこまでとてもだせず、ホームセンターで安いよしづを買ってきて取り付けました。

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窓からの熱は室内のカーテンやブラインドより外での遮熱が最大の効果があります。

原始的ですが、見栄えより、実を選びました。

思った以上に涼しいです。

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よしづとロープ、金物、巻き上げ滑車など全部で4300円でできました。これで事務所のエアコン代が安くなりそうです。

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2016年11月24日

まともな事業者かどうか見分け、「気密測定のC値はどの程度ですか?」


今、家を建てる人が読んでいる本「あたらしい家づくりの教科書」が隠れたベストセラーのなっているそうです。

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高性能なエコハウスを家を建てる人に、やさしく解説している新進気鋭の大学の先生や先進の設計事務所の先生の専門家9人の方が書いている本です。

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高気密高断熱住宅の基本的なことを丁寧なわかりやすい言葉で書かれていました。

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その中で業者選びの一つとして家を建てる計画の人にこんなアドバイスをされています。

まともな事業者かどうか見分けるために「気密測定はされていますか?」

または「C値はどの程度ですか?」と聞いてみることをお勧めします。


 
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すごい質問ですね。これが答えらえれない事業者は施主さんから選ばれなくなるかもしれません。

家を建てる人のために書かれたこの本を住宅建築関係の人はぜひ読んでほしいですね。
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2016年02月22日

住宅温熱測定、窓


築2年の高気密高断熱住宅の結露がひどいので温熱診断の依頼がありました。

外気2.7℃、LDKの続きの和室のアルミ樹脂複合サッシ窓下枠の温度が輻射温度4℃でした。

その下の壁は11℃です。

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サーモカメラで今度はLDKの窓下枠隅角部が窓ガラスよりかなり低い温度がはっきりわかりますね。

ペアガラスよりアルミ樹脂複合の窓枠の方が熱が伝わりやすい証明です。

テラス窓より小さい横滑り窓や縦すべり窓は面積に対して枠の率が大きいので熱損失が高くなります。

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家の外観からサーモ画像を見ると窓の熱損失がいかに高いかよくわかります。
テラスの屋根の雪は青ですが、窓は真っ赤です。

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窓の性能を高めければいい温熱環境になりませんね。
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2016年02月02日

住宅温熱診断(3)マットレスに大量の結露の跡


結露調査で2階の寝室のマットレスに大量のシミ跡がありました。

「このシミは布団干しの時、雨にあたってしまったんですか?」

「違いますよ。床のフロアの結露がマットレスにしみ込んだ跡です」

施主様から思いもよらぬ言葉でした。

「ええ!ほんとに!これ結露のシミなんですか、ワアア!ひどい」


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それでスノコ板付きベットにしてマットレスを敷き、その上に乾燥シートを敷いてそして布団を敷いておられました。

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この大量の結露の為、工務店さんはフロアをはがしフロア裏に断熱材を施工して床を直したので少し結露が治まったということです。
ですがやはり心配で結露調査を頼んだということでした。

まず1階と2階の天井の懐に外気がはいり床の温度が低く飽和容積絶対湿度を超えて結露が発生したと考えられます。

断熱補強をした2階寝室の床の温度は少し低いくらいです。しかし玄関側の2階の部屋の床温度はかなり低い温度です。


 
気密測定をしたとき2階の間仕切り壁のコンセントからはそんなに外気の風は入っていません。

しかし1階の間仕切り壁のコンセント口からは冷たい外気の風が入っていました。

おそらく床下と間仕切り壁との取り合いから外気が侵入していると考えられます。

ひょつとすると床断熱材が外れかかっている可能性がありますので、工務店さんには床下を全部チエックして隙間があればウレタンかコーキングで穴埋めをしてくださいとアドバイスしました。


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住宅の気密断熱のマニュアル図の基本を勉強し施工すればこのようなひどい結露のクレームは少なくなります。




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2016年02月01日

住宅温熱診断(2) 換気給気口のはずが排気口に


温熱環境調査と結露調査の住宅の測定はサーモカメラ撮影、気密測定、温湿度測定、輻射温度測定、換気風量測定です。

結露は断熱、気密がとれていないことで室温低下が原因で起こることが多いですね。

気密測定した後は換気の風量測定をしました。

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換気はダクトレス換気でした。


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2階の部屋の排気口を測ると31m3/hとよく排気していました。


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サーモ画像で真っ赤な色で部屋の暖かい空気をよく排気しているのがわかります。

同じ部屋の対角にある自然給気口を測るとなんと風量0m3でした。

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よく見ると、本来外気の冷たい空気が入り青色のはずが赤色なのです。一部少し青がありますがほとんど赤色、つまり排気しています。

これは気密がとれていないため、温度差換気が起きてしまっています。

住宅の屋外との空気の出入りは1階と2階の間のn−n線上はプラス、マイナス0の中性帯となります。

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しかし気密断熱があまりとれていないお家は上下の温度差が大きくこのように2階給気口が排気になってしまうのです。

 
空気は1m3、0℃の時1.293g、20℃の時は1.205gと温度によって重さが違います。20℃空気は0℃の空気より1.07倍軽いのですね。

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室温の温度差がなければ、2階でも給気口は換気計画通りちゃんと給気となります。

2階の天井の点検口は通常のアルミの点検口で気密がとていませんでした。

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結露の原因はいろいろありますが、気密断熱の性能は低いこと。まずは基本性能を上げることがとても大事ですね。



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2016年01月31日

住宅温熱診断(1)断熱不足


3年経った住宅の温熱診断をいたしました。

壁、天井グラスウール、床押し出し法ポリスチレンフォーム、気密シート貼りなしの断熱仕様でした。
サッシはアルミ樹脂複合ベアガラスU値2.33w/m2・kです。
まず外から住宅の外観をサーモカメラで撮影します。

正面から向かって右横の南面壁はそんなに室内の温度は伝わっていませんでした。窓は赤色で室内の暖気を示しています。窓は壁より断熱性能は落ちるので仕方ありませんね。

 下の真ん中の赤はエコキュートと右下は車の熱です。

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今度は正面東面の玄関側ですが、なんと玄関ドアとその上の外壁が真っ赤です。

右半分は水色、左半分が赤、玄関ドアと左半分面の外壁の断熱力が足りません。

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気密シートがないのと、気流止めが充分でなく壁と床の取り合い、小屋裏側の天井と室内の壁との取りあいから、外気が入っていると思われます。
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2016年01月20日

「病気にならないための家づくり」家の寒さが原因


「病気にならないための家づくり」という健康・省エネ住宅を推進する国民会議編著の本を読むと家の中の寒さが原因で高齢者が特に入浴事故死が多いと書いてありました。

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東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると65歳以上の高齢者が年間17000人の人が入浴中に死亡しているという推計が明らかになったそうです。

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交通事故死者が平成26年全国交通安全協会の発表によると4113人ですから、寒さによる住宅内の入浴事故がなんと交通事故の4倍も起こっているのには愕然とします。

 
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「血管は温度に影響されやすい」

「床から10cmの足元付近の室温が10℃低下すると血圧平均9mmHgが上がる」

 
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住宅会社、工務店、設計事務所さんはこのようなヒートショックの危険な寒い家にならないよう断熱、気密、換気、冷暖房計画をしっかりたてて健康で安全な住宅をお願いしたいですね。

「人間は寒さに弱い」

この寒さ対策が重要です。





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2016年01月09日

憧れの薪ストーブはカリカリ乾燥の薪が条件なんだ


この正月、遊んでばかりではダメとたまには勉強しないとと思い、自分の仕事に関係する温熱環境の本を読みました。

東京大学の建築環境工学の第一人者の前先生の「エコハウスのウソ」改訂版です。


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省エネ基準の義務化、人と健康、建物の外皮性能、冷房、夏への備え、吹き抜け大開口、と主なテーマで科学的なデーター、統計、サーモカメラ実測数値などを交え分かりやす言葉で書かれています。

 
その中でエコハウスで憧れが多い暖炉、薪ストーブのなるほどという記事がありました。

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@薪の燃焼熱量は石油の半分しかない

A薪は遅くとも1年前に割ってしっかり乾燥させること

B水分の多い薪は多くの熱が水分を水蒸気にするのに使われ、部屋があまり暖かくならず効率が悪い

C煙突はは高くすること。1枚の金属の1重煙突だと外気に冷やされ煙の温度が下がり、煙が重くなるので不完全燃焼にもなり、煙突の機能不全のなる恐れがある。そのためタールがたまり煤が多くなりやすい。2重3重の断熱性を高めた煙突にすること。

 
D暖炉の置く場所の位置が大事である。薪ストーブの放射は距離は離れるほど急速にエネルギーが低下してしまう。距離の2乗に反比して減衰する。距離2倍になると4分の1、距離が3倍だと9分の1。ストーブの前に大きな造りつけのテーブルなど障害物を置かないこと。  

E暖房に必要な熱量は家の断熱性能にのもよるが、1日の10kg以上の薪が必要。冬100日暖房するとすれば1000kg、1トンの薪が必要となる。それだけの薪を前年の年に割っておいてちゃんと乾燥する場所に保管し続けれる可能な家に限られる。

なるほど道理でわかりました。

暖炉のお家は新築1年目の冬は何とか薪を買い集めて暖房できたけど、2年目のなると大変で部屋の飾り物のなっているお家をよく見かけますね。

上の@からEまでの条件をそろえたお家が憧れの暖炉、薪ストーブを永く楽しむことができるんですね。

勉強になりました。施主様さんも設計士さんも工務店さんもとても参考になる記事でした。
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2015年12月06日

お風呂で亡くなる人口比で一番悪い県はどこだと思います?


昨日はイザットハウス富山店様((有)ベストフォーム、富山県立山町)の魚津の現場の気密測定でした。

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お施主様家族全員が立会されました。測定結果は0.17cm2の超高気密でした。(印刷は四捨五入するので0.2です)

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ご主人さんが熱心に測定データーを眺めておられました。

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お施主様になぜ気密が大事なのかを説明しました。

そして私からお施主様に逆に質問をしました。

「ところで交通事故で1年間にどれだけの人が亡くなっていると思います?」

「さああ、わかんないね。スピード違反、携帯、シートベルトなど厳しくなっているし、少なくなっているのじゃないかな」

「その通りです。これが平成26年のデーターです。なんと4113人と少なくなっています。ところで家の中のお風呂で亡くなっている人はどのくらいだと思いますか?」
 
「ふふーむ、想像がつかないです」

「年間1万4人の人が亡くなっているのですよ」

「ええ、1万4千人も!」

「これは主に家の中の温度差が原因と言われています。リビング茶の間が冬20〜22℃あるとすると、気密断熱の弱い家などローカ、洗面所が5〜7℃くらい、そして熱い40℃近くの風呂のお湯につかると身体の弱いお年寄りなどは心筋梗塞や脳梗塞などを起こし瞬間的に意識を失い、お風呂のお湯なかで溺れてなくなるいわゆる溺死の事故が多く起きています」

「怖いですね」

「そうなんです、家の中の温度差をなくすはとても大事なことなんです。人口比で一番お風呂で亡くなっている最悪の県はどこだと思います?」
 
「寒い北海道か東北あたりですか」

「ところが違うんです。ここ富山県が一番亡くなる率が高いんですよ」

「ええ!ここ富山が最悪ですか?」

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「ワースト1が富山、ワースト4が石川県、ワースト5が福井県と北陸の家は大きくり立派だけど、寒さに弱いです。今じゃ道路より家の中が危険と言われます。逆に寒い北海道は40位、青森県が41ですよ」

「へええ、そうなんですか」

 
「北海道や青森県は道や県が寒くない安全で健康に過ごせる住宅造りために工務店、住宅会社、設計事務所に気密断熱のセミナーや指導をずっとしてきています。
北海道庁は気密測定の制度を作り毎年試験で気密測定士という資格者を育て上げてきた努力をしてきました。だから家の中の温度差の事故が少なくなりました」

「いやあ知らなかったです」




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2015年06月24日

低温は万病の元


昨日はYKKAPさんの主催で金沢で研修会がありました。

北陸3県の建築関係の人を対象に近畿大学の岩前先生の講演でした。

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「低温は万病の元」先生の言葉にまったく同感です。寒さが健康を害するやっぱりそうだったんだ。

日本人の平均寿命が世界一、男80歳、女86歳、しかし内容を見ると医者にかからない健康平均寿命年齢男70歳、女74歳

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後の男10年、女12年は医者と薬と介護に頼りに生き延びている統計を見てショックでした。

心筋梗塞、脳梗塞など疾患は先ず住宅の寒さから起きることが多い、これは住宅の温熱環境をよくしなければなりません。

我々の税金が老後の介護と医療費に多く使われいる実態を改善するためにも、住宅の温熱環境の向上は必須条件ですね。

これは建築屋に課せられた使命であり、私の仕事の命題でもあります。




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2015年05月20日

オーガニックスタデイオ相模氏のセミナー


YKKAP金沢支店のSさんから「オーガニックスタディオの相模氏の温熱環境のセミナーがあるので来ませんか」と招待され昨日セミナーに参加しました。

以前から相模氏の講演があれば勉強したいと思っていました。

行列のできる工務店の社長さんの温熱環境に特化した会社です。

まず数値で見える化すること、温熱Q値計算でどれだけの性能の家かを施主様に見てもらうこと。住宅の熱損失で一番弱い部分の窓の性能を高めること。

新潟は表日本の静岡などと比べると太陽の日射量が少ないので、冬太陽からの無料の暖房が期待できないので躯体の断熱性能を高めることで暖房負荷を少なくすれば暖かい家ができる。

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基礎断熱にして床下エアコンの暖房はQ値を高めないと失敗する。

最低でもQ値1.3w/m2・K以下が必要。オーガニックさんの会社のモデル体験住宅はQ値1.0w/m2・Kということです。


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何処の部屋にいっても温度差のない住環境、ヒートショックのない健康的住宅は医者に行かなくてもよい住宅になります。
断熱、窓の性能アップで初期投資は少し高くなるが、冷暖房費の光熱費、医療費などが少なくなるので試算すると12~13年で元がとれるとも話されました。

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セミナーにはたくさんの知り合いの工務店、住宅会社、サッシの販売店の人が来ていました。

私は以前から北陸の家の温熱性能はO値は1.3w以下と考えていました。相模氏のお話をお聞きしまったく同感です。

気密がとれていなければ相模氏がこの環境はなし、できない、絵に描いた餅とも言われました。やはり断熱、気密、換気、冷暖房この4要素が一体に考えてはじめて温熱環境のいい家になります。

YKKAPのSさん、勉強になりました。セミナー招待ありがとうございました。

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2015年02月06日

福井県長期優良住宅の会の講演


昨日は福井県長期優良住宅の会の勉強会の講演をしてきました。


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温熱外皮UA計算の実例と適合証明取得のポイントをお話ししました。

断熱部、木材熱橋部の面積計算、サッシのU値、ガラスの日射取得率、土間床基礎のH400mmまでと400mmを超えた部分の計算、母屋間断熱の場合の屋根勾配から断熱部と木材熱橋面積比の計算例など。

冷房期と暖房期の平均日射取得率計算、外皮U値計算結果数値を1次エネルギー消費量計算に入力し、各高効率設備機器の冷暖房、換気、給湯、照明などのAPF、COP、比消費電力の値の入力の仕方など実例を示しお話をしました。

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数値ばかりでは眠たくなるのじゃないかと思い、計算実例の後は、気密断熱の取り方の現場写真を見てもらいました。

断熱パネル、ウレタン吹き付け、セルロースファイバーの気密シート張りの現場など、浴室ユニットバスの基礎部分の気密断熱の取り方など多くの写真で説明です。

結露と内部結露計算の実例など適合証明取得に必要なものなど盛りだくさんの内容です。

1時間の持ち時間でしたが、20分オーバーしてしまいました。

多くの人が真剣に私の話を聞いていただきありがとうございました。
posted by 山男のつぶやき at 06:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 温熱環境
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