
私は住宅の温熱環境が仕事ですが、もう一つ音環境も専門としています。しかし音ではほとんど商売にはなりません。今ではもっぱら音の悩み相談を全国の人から受け、ボランティアですね。
私のブログ記事にも何度も書きましたが、エコキュートやエアコンの室外機の騒音で夜寝られないという睡眠障害が起きています。
特に安い深夜電力で真夜中に稼働するエコキュートの騒音が社会問題となりました。
2009年2月に群馬県の高崎市で隣地に新築された住宅のエコキュートの室外機の低周波騒音で、睡眠障害でメーカーと住宅会社を相手取り2011年に訴訟が起こされました。
この訴訟の代理人の高崎市の井坂弁護士さんは自分の記事に詳しく書かれています。
結論は残念ながら和解でのみしか解決できなかったことです。結局、加害者側がエコキュートを自費で撤去して音の出ない電気温水器にかえたことでやっと解決したのです。
この裁判はエコキュートのメーカー、工務店、住宅会社の中で室外機の騒音で注目された裁判でした。
環境基準では深夜10時から朝6時を深夜時間とし、住宅地では騒音値を45dB(A)以下にする基準があります。
45dB(A)以下でも100Hz以下の低周波によって、睡眠障害、頭痛、血圧上昇、目まいなどの健康障害が起きています。
これを避けるために設計事務所、住宅会社、工務店はよく理解し、隣地の住宅に騒音の影響を少なくする対策をしなければなりません。
たとえば防音壁を設けるとか、室外機を出来るだけ隣地の住宅から離して設置する、狭い場所で隣地との距離がなく無理であれば、電気温水器を勧めるなど考慮しないと最終的にはこのような訴訟を起こされることになる可能性があります。
残念ながら裁判で低周波騒音と健康に関する因果関係まで踏み込んだことまでは判断されませんでしたが、エコキュートが設置され騒音問題が発生し裁判になり4年の歳月がかかった事実です。
被害者側も加害者側も4年という長い間、この問題に縛られるということです。
でも和解でしか解決できなっかったエコキュート騒音ですが、エコキュート騒音に警笛を鳴らした大きな前進です。